役の分類①
役はどう分類されてきたか
Wikipediaの中国麻雀のページを見ると「系列」として次のような分類がされているのを見つけました。
- 字牌系列
- 数牌系列
- 歩歩高類
- 同順類
- 龍類
- 老少類
- 刻子系列
- 刻子類
- 槓類
- 七対系列
- 花色組合系列
- 全帯系列
- 不靠系列
- アガリ方式系列
- 特殊系列
役の分類としてはよくまとまっているなーと思います。
私はこのような分類が好きなので、役はどのような分類があるか考えてみました。
次のリストに考えられる限りの分類方法をすべて挙げます。
- 翻数別
- 系列別
- 確率順
- 五十音順
- 手役・状況役
- 門前役・非門前役
- 全体役・部分役
- 順子役・刻子役
- 数牌役・字牌役
- 偶然役・非偶然役
- 一色役・三色役
- 喰い下がる役・喰い下がらない役
- 上位役・下位役
- 通常の役・ローカル役
- 役の生まれた国
それぞれの特徴について見ていきましょう。
翻数別
おそらく最もよく見る分類方法が翻数別です。
翻数と結びついた分類であるため、初心者にとって分かりやすいと思います。
翻数の中での順番は、作った人によるところが多いと感じます。
系列別
人によって分け方が異なるのが系列別です。
初心者はまず分類名の漢字が読めない、読めても意味が分からないといった点から、上級者向けの分類です。
ある役が二つの分類の定義に当てはまったり、逆にどこにも割り当てられず仕方なく「特殊」に分類したり、きっちり分けるのは難しいでしょう。
確率順
分類というよりは並び順であるのが確率順です。
誰が作ったとしても、ソースが同じなら同じ並びになります。
問題はどこからその確率を引いてくるかですが、データ量の多いであろうオンライン麻雀の統計を用いるのが妥当でしょう。公表しているかは知りませんが…。
当然、確率の値を入手できなければ作れません。
五十音順
麻雀の中ではあまり見かけない分類、というよりは並び順が五十音順です。
なぜかというと、
- 名前が一意に定まらない場合がある
- 読みが一意に定まらない場合がある
- 略称で呼ばれることが多い
という点があるからです。
1.については、例えば「全帯幺九」か「混全帯幺九」か、「役牌」か「三元牌/自風牌/場風牌」か「白/発/中/東/南/西/北」か、「四喜和」か「小四喜/大四喜」か、といったものがあります。
読みについては、ローカル役の一色三順は「イッショクサンジュン」か「イーソーサンシュン」か、といった問題があります。
略称はいろいろ作れますし、一つの略称が2つのどちらの役にもあてはまる場合もあって困ります。
例えば、「三色」は一般に三色同順の略称だとされていますが、三色同刻の略称だとも取れます。「三色」が三色同順の略称であって三色同順の略称ではないとする根拠はありませんから、「三色」を五十音順に並べるとすれば、三色同順と三色同順の両方の役を「三色」の項で解説すべきです。しかし、名前と役が1対1対応していないのは混乱のもとです。
すべての名前、読み、略称を掲げるなら、それは分類ではなく索引になってしまいます。
このような理由から五十音順は用いられることが少ないのでした。
手役・状況役
初心者が一番最初に認識すべき分類が手役・状況役だと思います。
定義を示すとすれば次のようになるでしょう。
手役とは、手牌の組合せによって成立する役である。
状況役とは、手役ではない役である。すなわち、手牌の組合せによらず成立する役である。
状況役は、文字通り上がりの状況によって成立する役とも言えます。
門前役・非門前役
麻雀で重要な分類が門前役・非門前役です。手役・状況役にかかわらず分類できます。
この分類はちょっと注意が必要です。
門前役は「門前でなければならない役」だと認識する人が多いと思いますが、直感的な推論で、非門前役は「門前でも非門前でもどちらでもよい役」とも「非門前でなければならない役」とも取れます。何が正しいのでしょうか。
さらに、役の定義でそうなっているのか、それとも実際の成立条件で定められているのか、という疑問があります。
答えは、門前役の定義によります。私の場合は次のようの定義します。
門前役とは、非門前で得点にならない役である。
門前役と非門前役が表と裏の関係にあるとみれば、非門前役は『非「門前役」』と解釈するのが自然です。したがって、非面前役の定義は次のようになります。
非門前役とは、門前役ではない役である。すなわち、非門前で得点になる役である。
非門前役は「門前か非門前かにかかわらず得点になる役、及び、 非門前でのみ得点になる役」とも言えます。
全体役・部分役
続いて、全体役と部分役という分類です。手役・状況役にかかわらず分類できますが、手役のみで考えることが多いようです。私なりの定義を示すと次のようになります。
全体役とは、すべての上がり牌が役の定義に関係する役である。
部分役とは、全体役ではない役である。すなわち、ある上がり牌が役の定義に関係しない役である。
例えば、清一色はすべての上がり牌が役に関係するので、全体役です。対々和は雀頭の2枚が役に関係しないため、部分役です。立直も雀頭の2枚が役に関係しないため、部分役です。
おそらくこの分類を使って得られる情報は少ないでしょう…。
順子役・刻子役
面子での分類、順子役・刻子役は誰でもすぐ思いつきそうです。
でも、意外と汎用性が乏しいと感じます。手役で、かつ、以下のいずれかの定義を満たす役のみが分類できます。
順子役とは、役の定義に関係するすべての牌が順子を構成している役である。
刻子役とは、役の定義に関係するすべての牌が刻子を構成している役である。
順子と刻子は対照的な関係にありますが、順子役の定義の否定は刻子役の定義にはなりません。
なお、混老頭は七対子でも成立するため、この定義では刻子役にはなりません。
数牌役・字牌役
牌種により、数牌役・字牌役という分け方もできます。ただ、あまり聞いたことがありません。
数牌役とは、役の定義に関係するすべての牌が数牌である役である。
字牌役とは、役の定義に関係するすべての牌が字牌である役である。
牌を見ればすぐ分かるので、この分け方は使う必要性が低いからあまり聞かないのかもしれません。
偶然役・非偶然役
続いて、偶然役・非偶然役という分類です。手役・状況役にかかわらず分類できますが、状況役のみで考えることが多いようです。 私の定義は以下のようになります。
偶然役とは、偶然性に強く支配される役である。
非偶然役とは、偶然役ではない役である。すなわち、偶然性に強く支配されない役である。
これまでと違って定義が曖昧です。すべての役は多少なりとも偶然性に支配されますから、単に偶然役を「偶然性がある役」と定義してしまうとすべての役が偶然役になってしまいます。
綾目麻雀では、門前清自摸和は非偶然役です。なぜなら、自摸で得る牌は偶然選ばれますが、捨て牌にはプレイヤーの意思が介在しているため、その繰り返しで上がり形を満たしたときに条件を満たす役「門前清自摸和」もプレイヤーの意思が介在している=偶然性が低い、と考えられるからです。
一色役・三色役
数牌の種類の数に着目して、一色役・三色役と分類する方法が考えられます。
定義は数牌のみに着目し、字牌は問わないとするのがシンプルでよいでしょう。
一色役とは、役の定義に数牌が関係し、その数牌がすべてが同じ種類である役である。
三色役とは、役の定義に数牌が関係し、その数牌が3種類とも必要である役である。
綾江麻雀ではこの一色役・三色役に分類される役が現代麻雀よりも多く採用されています。
上位役・下位役
分類とは言えないかもしれませんが、役どうしに上下関係を見出して上位役・下位役といった言い方ができます。
これは語りだすと話が長くなってしまうので、解説はまたの機会に…。
喰い下がる役・喰い下がらない役
現代の麻雀では喰い下がる役・喰い下がらない役という分類ができます。綾目麻雀では役の喰い下がりがないためこの分類はありません。
すべての役をどちらかに分類できますが、喰い下がりは状況役には適用されませんので、ほとんどの場合、手役のみが分類されます。
どちらであるかを初心者が覚えるには不規則な分類であり、大きなコストがかかります。この理由もあって綾目麻雀では喰い下がりが廃止されています。
通常の役・ローカル役
これから役を覚えようとする人が最も意識する必要のない分類が通常の役・ローカル役という区分けです。
通常役は「現在のところ、これらの役が採用されるのが一般的である」というくらいの説明しかできません。
ただ、混沌とした麻雀のルールの中では結構定まっている方だと思います。曖昧なのは流し満貫を採用するか、人和を採用するか、というくらいです。どちらもめったに作れないので、覚えておく必要性はありません。
ローカルルールはWikiを見ると4000ページ以上はあり、半分がローカル役だと仮定しても2000個役があることになります。全部覚えている人はまずいないでしょう。中にはその場で作られたような、半荘限りの「オリジナル役」と思えるものも多く見つかります。
有名なローカル役に絞れば、数十個と覚えきれる量になります。知りたい人は、Wikipediaの麻雀のローカル役が分かりやすくてよいかと思います。
有名なローカル役は綾目麻雀で新しく役を採用するにあたり大いに参考になります。
役の生まれた国
役の生まれた国で分類することが、おそらくできます。
役の多くは中国で生まれ、日本に伝わったものだと思われます。
日本で生まれた役には立直、一発、 清全帯幺九が挙げられます。
アメリカで生まれた役には緑一色、七対子が挙げられます。
豆知識として知っておくと友達に自慢できるでしょう。




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