三色三歩高に類する役と役の規則性
役の追加
数え方にもよりますが、リーチ麻雀には役が37種類あります。
私はこれに他の役を追加してもよいと思っています。理由は以下の通りです。
- 立直ドラゲーになっており、役が重視されていない
- 狙っていくような役が少ない
- 役の規則性に乏しく覚えにくい
1について、私は現行のルールは副露よりも立直が高すぎる、さらにドラが手役よりも有利であると感じています。役を増やすことは立直・ドラとのバランスを調整する方法の一つです。
2について、もっと三色同順のような狙っていく役があってよいと思っています。今は37種類あるうち狙っていくような役は10に満たないと思います。
3について、役が増えると覚えるのが大変だという考えもありますが、役の定義に規則性を持たせることでむしろ覚えやすくなると考えています。
一色三歩高・三色三歩高
三色三歩高の追加
ところで、三色三歩高という役を知っていますか。中国麻雀の役で、サンソーサンプーカオと読みます。ただ音読みの方が読みやすいので、私はサンショクサンボコーと勝手に読んでいます。
三色三歩高は6点役であり、8点縛りのある中国麻雀では縛り条件を満たすための中核的な役となっています。
定義は3色の順子で1つずつずれた順子を作ることです。例えば次のような形です。
この役、知らない間にできていたりするほど結構作りやすいんです。戦略に多様性をもたらすために、ぜひ三色三歩高を採用したいのです。
一色三歩高
もし三色三歩高が追加されるとしたら、一緒に一色三歩高も追加することが妥当でしょう。
一色三歩高は三色三歩高の一色バージョンと言えますが、少し定義が異なり、2つずつずれた順子でも可能です。
すなわち、同じ色で1つずつ順子がずれた形
と、同じ色で2つずつ順子がずれた形
のどちらでもいいのです。
どうして三色の場合は2つずつずれるのはだめで一色なら良いのか、私にはわかりません。
綾目麻雀における定義
綾目麻雀は規則性を重視します。なぜなら、その方がプレイヤーが覚えやすいからです。
三色三歩高と一色三歩高を中国麻雀の定義通りに綾目麻雀でも採用すると、この2つの役は順子が2つずつずれるのを一方は認めもう一方は認めていないという点で、規則性が乱れています。
そこで、規則性の観点から綾目麻雀ではいずれも2つずつずれた形を認めることにしました。したがって、次の形は綾目麻雀では三色三歩高という役の定義を満たします。
それぞれの役の定義を書き出すと次のようになります。
1色で数字が1か2ずつ連続してずれた順子3つを含む形。
3色で数字が1か2ずつ連続してずれた順子3つを含む形。
1色か3色かの違いだけですね。
ちなみに翻数は一色三歩高が2翻、三色三歩高は1翻です。さすがに1色で同じ牌が重なるのは3色の場合より難しいので、一色三歩高は三色三歩高よりも高くするのが妥当でしょう。
一色通貫・三色通貫
それでは1ずつでも2ずつでもなく、3ずつずれた場合はどうなるのでしょうか。
1色の場合、その形は一気通貫です。3色の場合、ローカル役で三色通貫があります。三色通貫は次のような形です。
明らかなように、三色通貫は一気通貫の3色版です。したがって、これまで挙げた4つの役に対して、次のような関係が見いだせます。

より規則的にするために、一気通貫を一色通貫に改名し、 必ず「色」という文字を用いています。
このような規則性は覚えるのに都合がよいのです。
綾目麻雀における定義
それぞれ定義は次のようになります。
1色で数字が1から9まですべてそろった順子3つを含む形。
3色で数字が1から9まですべてそろった順子3つを含む形。
3つずつずれた場合というのは1から9まですべてそろっている場合です。「3つずつずれた」と表現するのは不自然な感じがしたので、こう表現してみました。
一色三順・三色同順
それでは1ずつでも2ずつでも3ずつでもなく、0ずつ、すなわち、ずれがない場合はどうなるのでしょうか。 1色の場合、ローカル役の一色三順が該当します。3色の場合はその形は三色同順です。
作るのがかなり難しい一色三順は次のような形です。
刻子が3つあるようにも見えますね。そう見たときは三連刻という別の役になります。
三色同順は一色三順の3色版であると言えます。そこで、これまで挙げた6つの役に対して次のような関係が見いだせます。

三色同順に合わせて一色三順を一色同順に改めるのはやめておいた方がいいでしょう。なぜなら、一色同順はそれに順子がいくつ含む定義なのか名前からは分からないからです。それぞれ「三色三同順」「一色三同順」と呼べば明確ですが、冗長な感があります。それなら、「一色三歩高」「三色三歩高」は「一色三歩」「三色三歩」に改めるべきだという反論が出そうですが、まあそこは慣用表現を使った方がすでに普通の麻雀を知っている人にとって混乱が少ないということで…。
綾目麻雀における定義
それぞれ定義は次のようになります。
1色で数字が同じ順子3つを含む形。
3色で数字が同じ順子3つを含む形。
三連刻・三色連刻
さて、これまでの役はすべて順子のみで定義される役でした。では、刻子で定義された場合はどうなるのでしょうか。
1色の場合、それはおそらく三連刻でしょう。一色三歩高の定義で順子を刻子にし、「1か2ずつ」を「1つ」にすれば三連刻の形になります。3色の場合、それはおそらく三色連刻でしょう。三色三歩高の定義で順子を刻子にし、「1か2ずつ」を「1つ」にすれば三連刻の形になります。
三連刻は次のような形です。
三色連刻は次のような形です。
三色連刻は三連刻の3色版であると言えます。そこで、これまで挙げた役に対して次のような関係が見いだせます。

一色通貫と三色通貫も対比しているのは、見方によってはこの二つも三連刻・三色連刻との間に関係が見いだせるからです。1色の場合を考えると、一色通貫は「1色で同じ数字が重ならない順子3枚が連続する形」と見ることができ、三連刻は「1色で同じ数字が重ならない刻子3枚が連続する形」 と、順子を刻子に読み替えるだけで説明できるのです。
命名については、難しいところですね。三連刻の三は刻子の連続が三個の意味ですが、三色連刻の三は文字通り三色を意味します。より正確なのは一色三連刻、三色三連刻なのですが、やはり冗長さを感じます。
綾目麻雀における定義
それぞれ定義は次のようになります。
1色で数字が連続する刻子3つを含む形。
3色で数字が連続する刻子3つを含む形。
三色同刻
では、一色三順と三色同順の場合はどうなるのでしょうか。
3色の場合は三色同刻です。順子vs刻子の代表選手みたいなものですね。麻雀を知っている人にとっては言うまでもないでしょう。
1色の場合は、というと、実はありません。なぜなら、同色で同じ順子はあっても、同じ刻子はないからです。3色なら同じ(数字の)刻子があります。
一色三順の刻子版は三連刻だと思った人がいるかもしれませんが、違います。一色三順は同じ順子が3つ重なっていますが、三連刻は連続する刻子が3つ並んでいます。三連刻に対応するのは一色三順ではなく、連続する順子が3つ並ぶ一色三歩高や一色通貫なのです。
したがって、三色同順についてのみ刻子版との対比関係が見いだせます。

綾目麻雀における定義
定義は次のようになります。
3色で数字が同じ順子3つを含む形。
4面子用いる役
めったに作れませんが、三色三歩高に関連する4面子用いる役があります。一色三歩高に対する一色四歩高 、一色三順に対する一色四順、 三連刻に対する四連刻がそれです。
3色の役で4面子用いる役は聞いたことがありません。3色中3色用いている時点で完全性があるため、4面子用いた場合はいずれか1色のみ2面子となり美しくないからでしょう。
一色通貫に対する4面子用いる役もあるとは言えません。3面子の時点で1~9まである数字のうち1~9を用いているという完全性があるため、4面子目の需要に乏しいからでしょう。九蓮宝燈は1~9まで用いますが、順子と刻子両方を必ず用いることと面前のみという特殊性があり、一色通貫に類しているとはいいにくいです。

綾目麻雀における定義
それぞれ定義は次のようになります。
1色で数字が1か2ずつ連続してずれた順子4つを含む形。
1色で数字が同じ順子3つを含む形。
1色で数字が連続する刻子4つを含む形。
2面子だけ用いる役は不要
一色三順の2面子版である一盃口を除き、これまでに出てきた役の2面子版は不要です。
2面子版では、3色役と一色通貫は完全性が失われる、歩高系は簡単すぎるという欠点があります。
2面子だけで作る「二連刻」は三連刻との対比で完全性を失うわけではなく、簡単すぎるわけでもありませんが、個人的には役の美しさの観点から追加は疑問です。
命名規則
これまでのすべての関係を表にまとめてみましょう。
| 順子 | 刻子 | ||||
| 1色 | 3色 | 1色 | 3色 | ||
| ずれ | 0 | 一色三順 (一色三同順) 一色四順 (一色四同順) |
三色同順 (三色三同順) |
– | 三色同刻 (三色三同刻) |
| 1 |
一色三歩高 |
三色三歩高 | 三連刻 (一色三連刻) 四連刻 (一色四連刻) |
三色連刻 (三色三連刻) |
|
| 2 | – | – | |||
| 3 | 一色通貫 | 三色通貫 | – | – | |
より規則的にするために、()内に改名候補を書き足してみました。見ての通り、9の役は「三同順」「三歩高」「通貫」「三同刻」「三連刻」の5ついずれかの頭に「一色」または「三色」を付けた名前になっています。一般的な名称はこの規則的な名前の略称だと解釈することができます。
しかし、覚えるときは楽な一方で、遊ぶときは毎回5文字の名前を言うのは面倒と思う人が出てくるでしょう。短い方がいいのか、正確な方がいいのか、悩ましいですね。
一気通貫は一色通貫に改名する価値があります。
表を見れば漢数字のうち「一気」の「一」だけは別の意味を表していることが分かります。一気通貫は『「一気」の意味+「通貫」の意味』と意味を合わせた語ではなく、「一気通貫」で同色で1~9の順子3枚を表現していると考えた方がよさそうです。そうすると、三色通貫は「三色一気通貫」とし、一気通貫は差別化のため「一色一気通貫」とすることが思い浮かびます。
しかし、これは明らかに長いですよね。
もともと「通貫」だけで「一気通貫」の様子を表現できています。そこで規則性と長さの観点から「通貫」に「一色」を付して一色通貫に改名することが妥当だと思うのです。これは連想した「一色一気通貫」という名前の略称だとみることもできます。
翻数
翻数について。
まず、最も簡単に作れる三色三歩高は1翻相当でしょう。
現行の一気通貫と三色同順は2翻役で妥当だと思いますので、同じ3面子順子役である一色三歩高と三色通貫も2翻役にします。どちらも狙いやすく、戦略上重要になることが多いでしょう。
順子系の役で一色三順は例外的に高い翻数にすべきです。なぜなら、同色で同じ並びの順子4つあるうち3つ集める必要があるからです。
他の3面子で作る刻子系の役も一色三順と同じくらいの難度でしょう。その妥当な翻数は4翻くらいかなと思います。
一色四歩高の翻数は、作るべき4面子中4面子を同色で使っているという完全性があるため、一色三順より高くてもよいと思います。しかし、四暗刻ほど難しい役ではないでしょう。そこで、役満のほぼ半分の点数、かつ、4翻のほぼ2倍の点数になる6翻がよいと思います。
四連刻と一色四順はローカル役と同じ役満が妥当でしょう。
まとめ
役を追加するために、三色三歩高とそれに似た役を主に規則性の観点から考えてきました。いずれの役も他のいずれかの役の定義を少し変えれば導き出せる関係にあります。
役の名前も規則的にすることができますが、冗長さは感じます。
翻数は作りやすい1翻役を1つ、狙いやすい2翻役が2つ追加され、戦略の幅が広がります。
2019/11/22 追記
このページでは慣用表現を主に用いていたものの、改めて考えると規則的な名前の方が良い気がしてきました。既存の麻雀を知っている人が役の名前を覚えるコストよりも、麻雀を知らない人が覚えるコストの方がずっと大きいですからね。
ということで、現時点では規則的な名前を採用することにします。
2019/12/11 追記
「歩高」としていたものを「歩順(ホジュン)」と改めることにしました。
「高」では意味が分かりにくいですし、「コー」の読みが刻子の「刻(コー)」とかぶってしまい初心者にとって紛らわしいですからね。
2020/02/13 追記
やっぱりよーく考えた結果、「歩高」でも「歩順」でもなく、「歩」とすることにしました。短い方が言いやすいですし、すでに「一色三歩」という呼称があることを発見したからです。
また、三色役は面子が三枚の場合のみですから、三色の後の「三」を省略することにします。例えば、三色連刻や三色歩といった具合です。
2022/06/11 追記
前言を翻すことになりますが、二色役を追加することにしました。理由は、一色二同順があるのに二色役はないのは規則正しくない、というのと、二色役に点数がないと三色役を目指しにくいという点があります。



ディスカッション
コメント一覧
麻雀の新ルールを思案しているものの一人です。このブログが現在機能しているかは微妙ですが、いくつかの記事にてディスカッションさせていただきます。
立直式麻雀で三歩系列の役を増やす必要はないと思われます。
理由としては、役作りが一気に複雑化し、中国公式ルールにはない押し引き要素も合わさって
試合の大幅なスピードダウンに繋がること、
喰い下がらなくするだけでも和了・打点のバリエーションが広がること、
また刻子の価値が下がりすぎてしまうことを挙げます。
またドラを忌避するのも門前の価値が高いとするのも納得がいきません。
表ドラは手役には悪影響を与えているかもしれませんが技術介入要素も大きく、
打点のバリエーション向上にも役立っており、更に単純明快です。
またドラの影響で現行のルールにおける鳴きと門前のバランスは、
有志の麻雀研究のデータから見ても絶妙であることがわかっており、
一概にドラを忌避する必要はないと思われます。
(裏・槓ドラは技術介入にほぼ影響しないので議論する余地があります)
それよりも実践的な刻子役や二色役が極めて少ないことが問題です。
二色手が一切存在しないため染め手の価値が上がりすぎている要因の一つにもなっており、また刻子手が少なく、かつ難しいものしかないために刻子手における技術介入要素が極めて少なくなっています。
両者の改善に最も効果があるのは二色同刻の追加です。
また、後者の改善には字牌を確実に使う五門斉が、前者の改善には鏡同和や(清)絶一門の追加、及び喰い下がり廃止(=一盃口の副露和了追加)が相応しいと思われます
喰い下がりの廃止と五門斉は採用は行われているようですので、私は二色同刻・鏡同和・(清)絶一門の追加を提案いたします。
コメントありがとうございます!
内容について私の意見を述べさせていただきます。
・三歩系列の役を増やす必要性について
役を増やすことはゲームの複雑さを増大させるのと同時に、選択肢の多様性を増やしています。
確かにスピードダウンになるでしょう。でも、競技の観点から言えば重要なのは、スピードではなく、単位時間当たりに個々人が技能をゲームにどれくらい反映させられるかだと思います。もしその役を採用することで、採用しない場合より多くの単位時間当たり技能が反映されるならば、その役は競技的な観点からは採用されるべきと思います。
順子系の役を新たに採用することで刻子系の役の価値は相対的に下がりますが、ルールを決める時点で、すべての役の価値を勘案した上で刻子系の役に適切な翻数を設定しゲームバランスを取ればよいと考えます。
・ドラと面前
ドラについては考察の余地がありますね。でも、刻子がドラだった場合、その3枚を集める技能の価値がドラ3つ分の翻数に相当するか、疑問があります。少なくともドラを2枚引いたわけですから、それは技能というより運良くドラが転がってきただけであると感じます。
門前が高いとツモ牌に依存する可能性が高まります。鳴きが多い方が多様性が増し、手牌に技能がより反映されやすくなると思います。
・二色役
二色同刻、いいですね。採用しましょう! 規則性の観点から二色同順も一緒に採用します。
鏡同和もいいと思います。ただ、役の規則性と美しさが少し物足りなかったので、改良した「隣々和」と「鏡和」という役を創作しました。気が向いたら解説記事を作ろうと思います。